受け継がれて受け継ぐ


花鋏は、有次で、とずっと思っていた。

ひょんなことからこんなに早く京都に行けることになるなんて、そうなれば何が何でも有次に行こう、と
ここ最近の頭の中は有次のことでいっぱいだった。

加えて彼が一人暮らしするにあたり、質のいい包丁が欲しいという。

ならば、引越祝いにサプライズプレゼントしよう、ということで意気揚々とお店へ。



店内は外国人を含め沢山のお客さん。
ごった返す中でも接客はとても親切で丁寧に説明してくださって、包丁ひとつにしても種類は多く奥が深い。
迷いに迷って選んだ包丁に彼の名前を刻印してもらい、自慢気に彼に渡したのだった。
この彫り師さん、カメラを構える私に快諾してくださり、立派に刻んでくださった。


渡してからがさー大変。
彼も予想外の包丁にとっても喜んでくれ、ふたりしてはしゃぐ。
何を初めに切るか、と食材を買い出しあれやこれや、そして、切ったら切ったであまりのすごさに声が出ない。
もうその切れ味にはなんと言えばいいのか、本当に大感動するばかりだった。
グローバルの包丁を手に入れたときも感動したけれど、比にならないくらいの抜群の切れ味。
ふだんは種が出てぶよぶよするトマトは薄切りしたくても怖くて出来なかったのに、
5mmほどにチャレンジしてもなんのその、手を切る怖さもなく安定した構えでスーーーッと切れる。
うーん、うなる、しかない。
そんなことで色んな物を切りたくなるのでした。


どうしても外食が多くなる彼。
これを機に健康的な家料理を続けてくださいな、の願いもこめて、の贈り物でした。