花子




  



花子はすっかり年老いていた。


私が帰ってきたときはいつもぺろぺろしてくれていたのに、
今回の帰省時は見向きもせず。
一度だけ思い出したかのようにぺろぺろしてくれたのは数日経ってからだった。


母さんが話していたように、座るタイミングをつかめなくてクルクルと永遠と回り続ける。
階段の昇降はめっきり遅くて、降りるのに関しては母さんがかつぐことも。
やせ細ってはいるけれど、食欲はあって、母さんがもう花子が好きなものを沢山食べさせてあげる、と
大好物のパンを食べている。
私が寝ていても起こしてくれることもなく、顔の上を平気で歩いていく。

ぼけた、というより、視力聴力筋力、感が鈍ってきたのだろう。


老いていく姿は本当に切ない。