部分月食


今日は部分月食、予てより楽しみにしていた。

でも、昨日のうちから今日は雨だと分かっていた。
昨日はまんまる満月が、珍しく寝床から見れた、というのに。



仕事が終わって、雨の中、見れるはずもないのに
黙っていられず家を出た。

電車に乗って、多摩川とは全く違った、人が賑わう街を
わけもなくとぼとぼ歩いた。


どこに行こうとも雨は雨なわけで、
東京はいつもこんなふうにつかめない日常が流れている。


彼と北海道に住む友人からの月の便りを読んで
通り行く人の目を気にして、涙が出るのをぐっとこらえた。


すっかり好きになりそうだった雨の日が、また遠ざかった。